ダニにアイロンとスチームを当てる。熱の届かせ方
アイロンの温度と当てる時間
家庭用アイロンの底面は、中温で140度から160度ほどまで上がります。ダニが弱るとされる温度を大きく超える熱です。当てた布地の表面には、短い時間で十分な熱が伝わります。布1枚を挟んで数秒当てるだけでも、その面の温度は50度を超えることが多いようです。温度と時間の関係は、ダニを60度のお湯で何分あてれば弱るのかにまとめました。ここでは、当てる面の広さという切り口でお伝えします。
気をつけたいのは、熱が届く範囲の狭さです。アイロンの底面はおよそ縦20センチ、横10センチほどしかありません。枕カバー1枚なら数分で済みますが、掛け布団1枚を全面にかけると1時間以上かかります。現実的なのは、狭い範囲に絞って当てる使い方です。
当てる時間は、1か所につき5秒から10秒を目安にしてください。同じ場所へ長く置き続けると、生地が焦げたり、てかりが出たりする原因になるのです。少しずつ位置をずらしながら、面をつなげていく動かし方が向いています。熱が当たらなかった部分のダニは残るため、抜けのない動かし方が肝心です。
スチームアイロンで届く深さ
スチームの噴き出す蒸気は100度前後になり、布の表面のダニに強く働きます。ただし届くのは、当てた面から数ミリほどの浅い範囲だけです。布団や畳の内部までは、蒸気の熱がほとんど入り込みません。中まで熱を通したい場合は、別の手段のほうが早道になります。
向いているのは、範囲の狭いものと、厚みのないものです。枕カバー、シーツの縫い目、ぬいぐるみの表面などが当てはまります。縫い目やタグの折り返しは、ほこりがたまりやすい場所です。スチームアイロンを浮かせて数秒当てると、その部分の温度が上がります。衣類スチーマーを使う場合も、考え方は変わりません。
蒸気は高温ですので、手や顔を近づけないでください。噴き出し口の正面に指を置くと、やけどのおそれがあります。小さなお子さんが近くにいる場面では、使う時間帯をずらすほうが安全です。
熱を当てたあとは、掃除機でその面を吸ってください。ダニの死骸やフン、細かなほこりは、その場に残ったままです。アレルギーの原因になる物質は死骸とフンに多いため、取り除く作業までが一続きになります。
ドライヤーの熱はダニまで届くのか
ドライヤーの温風は、吹き出し口のすぐ近くでは100度前後の熱さです。ところが20センチ離れると、当たる面の温度は50度台まで下がります。さらに離せば、ぬるい風にしかなりません。10センチと30センチでは、届く熱がまるで別物です。距離によって熱の強さが大きく変わる道具になります。
布団にドライヤーを当てれば中のダニまで熱が回ると考えるのは早いです。温風は布の表面で散ってしまい、綿の奥へは進みません。表面のわずかな範囲が温まるだけです。しかも風で綿ぼこりが舞い上がり、部屋へダニの死骸を広げてしまいます。
使いどころは、ぬいぐるみの表面や、洗えない小物の仕上げです。吹き出し口を5センチほどまで近づけ、少しずつ位置を変えてください。熱そのものの使い方は、ダニは何度で死ぬのか、熱湯と熱に弱い性質の使い方で扱っています。ドライヤーは補助の道具と考え、主役にしないほうが失敗の少ない使い方です。1か所へ長く当て続けると生地が縮むおそれもありますので、手は止めないでください。
衣類を傷めないための注意
アイロンをかける前に確かめるのは、衣類についた洗濯表示です。アイロンの印にバツが付いていれば、その衣類には熱を当てられません。ポリエステルやアクリルなどの化学繊維は、高い温度で溶けたり縮んだりします。表示の点の数は温度の上限を示し、1つが低温、3つが高温の目安です。
色の濃い衣類やウールには、当て布を1枚はさんでください。手ぬぐいや薄い綿の布を上に置くだけで、てかりや焦げを防ぎやすくなります。当て布をはさむと熱の伝わりはやや弱まるため、当てる時間を少し長めにとるのです。
畳にアイロンを当てる場合は、条件をそろえてから行ってください。い草は熱に弱く、直接当てると焦げたり色が変わったりします。当て布を使い、低い温度で、1か所につき数秒までにとどめるのが条件です。湿った状態で強く押しつけると、畳表がへこんで戻らなくなることもあります。
洗える衣類は、そもそも洗ってしまうほうが手間の少ない道具立てです。洗い方の目安は、衣類と服の洗い方にまとめました。アイロンとスチームは、洗えないものに絞って使うと負担が軽くなります。やけどを避けるため、作業のあいだは電源コードと本体の周りを片づけておくと安心です。