ダニは人にうつるのか。洗濯機を介して移るという心配
人から人へ移ることはあるのか
屋内のダニは、人から人へうつる性質のものではありません。風邪やインフルエンザのように、せきやふれあいで広がる相手とは、成り立ちが違うのです。チリダニやツメダニは、寝具や畳、カーペットの中で暮らしています。人の皮膚に住みついて数を増やすことはありません。家族のだれかが刺された跡に気づいても、その人が広げたもとだと考えるのは早いです。皮膚の上をすみかにしていないため、人と人のふれあいで移り合うことはないと考えられています。ただし、物に付いて別の場所へ運ばれる場合はあるのです。
正しく言い直すなら、うつるのではなく運ばれるという表現になります。寝具や衣類、ぬいぐるみといった布に付いたまま、別の部屋へ動く場合があるのです。たとえば、子どもの布団を来客用の部屋へ運んだ場面で考えてみます。布団そのものが動けば、中にいたダニも一緒に場所を変えるでしょう。移動しているのは人ではなく、布のほうと言えます。この違いが分かると、自分のせいで家族へ広げたという受け止め方は、事実に合わないと分かるはずです。跡の見分け方は、跡に気づいたときの手がかりにまとめました。ここでは、うつるかどうかという一点をお伝えします。
洗濯物どうしで移るのかという心配
洗濯機の中で洗濯物どうしにダニが移り合うという心配は、大きくないという見方が一般的です。洗濯の水流は、布に付いた小さなものを洗い落とす方向に働きます。ダニは水の流れの中でしがみつき続けられず、水と一緒に流れ落ちる側なのです。洗濯槽に住みついて増える生き物でもありません。ダニが数を増やすには、人のふけや皮脂といった食べ物と、こもった湿気が要ります。洗い終わった槽は、その食べ物が流し去られた状態です。ふだんの洗濯で、槽の中がダニのすみかになると心配する必要はありません。
気になるのは洗濯そのものより、洗ったあとの乾かし方でしょう。生乾きのまま室内へ長く干すと、部屋の湿度が上がります。湿度が60から80パーセントの範囲に入ると、ダニが増えやすい条件に近づくのです。洗濯機を介した心配よりも、洗濯物を早く乾かすことに目を向けてください。服や下着を洗うときの考え方は、衣類の洗い方の目安で詳しく書いています。ここでは、移るかどうかという心配だけを取り上げました。
来客や旅行のあとに気になるとき
来客や旅行のあとに気になる場合も、人がダニを持ち歩いて広げるという見方は当たりません。心配の対象になるのは、人ではなく持ち込まれた布のほうです。たとえば、旅行から戻って玄関に置いたままの衣類を思い出すと分かります。湿気を含んだ布がそのまま置かれると、その場所の湿り気が長引くのです。人の体を経由してダニが広がると考える必要はありません。気にかけるとよいのは、持ち帰った布をどう乾かし、どう片づけるかという点です。
来客用の布団や、押し入れにしまってあったぬいぐるみも、同じ見方で扱えます。長くしまわれていた布は、湿気を抱えたまま出てくることがあるのです。使う前に日に当てるか、風を通しておくと安心でしょう。帰宅した家族が刺された跡に気づいても、だれかの体から移ったと結びつける必要はありません。跡が半日から2日たって現れることもあり、いつどこで刺されたかは特定しにくいのです。かゆみが強い場合や長く続く場合は、皮膚科で診てもらってください。
うつるかどうかより、増える条件を見ます
移るかどうかより、家の中で増える条件が整っているかを見るほうが実際的です。ダニの数を左右するのは、人の行き来ではありません。温度と湿度、そして食べ物になるものの量が、増え方を決めています。気温が25度前後で、湿気の多い状態が続くと、増えやすい環境に近づくのです。反対に湿度を50パーセント台に保てれば、増え方はゆるやかになると言われています。人の出入りを減らしても、この条件は変わりません。
目を向ける場所は、寝具、カーペット、布張りのソファといった布が集まるところです。寝具では1平方メートルあたり数千匹という単位で暮らしていると説明されています。掃除機をかけるなら、1平方メートルあたり20秒が目安です。週に1回この手を入れるだけでも、たまった分を減らせるでしょう。住まい全体の考え方は、家の中のダニ対策の全体像にまとめてあります。条件を整えることは、家族みんなにとって効いてくる手当てなのです。